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分散と標準偏差の違い|平方根を取る理由と分散を使う場面

分散は平均からのずれを2乗して平均した値(不偏分散は個数−1で割る)で、標準偏差はその平方根です。違いは単位にあり、読むときは標準偏差、足し合わせる計算では分散を使います。データを2倍にしたときの変わり方や、取り違えやすい場面も数値つきで説明します。

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この記事の要点

  • 標準偏差は分散の平方根で、もとのデータと同じ単位を持つ
  • 分散の単位は「点²」「分²」のように2乗になる
  • データを2倍にすると、標準偏差は2倍、分散は4倍になる
  • 関係なくばらつく量の合計は、分散を足してから平方根を取る
  • 1より小さい値では、分散のほうが標準偏差より小さく出る
目次

分散は、平均からのずれを 2 乗して平均した値です。 全体の一部とみなす不偏分散では、個数ではなく「個数−1」で割ります。 標準偏差は、その分散の平方根です。

2 つの違いは単位にあります。 点数のデータなら、分散は「点²」、標準偏差は「点」で表されます。

人に伝えたり読み取ったりするときは標準偏差を使います。 いくつかの散らばりを足し合わせる計算では、分散を使います。

同じデータで2つを並べる

5 つの数値 2・4・6・8・10 で、分散と標準偏差を並べてみます。 平均は 6 で、平均からのずれを 2 乗して足すと 40 です。

種類割る数分散標準偏差
母(手元のデータが全部)582.83
不偏(全体の一部とみなす)4103.16

どちらの行でも、標準偏差を 2 乗すると分散に戻ります。 2.83 × 2.83 ≒ 8、3.16 × 3.16 ≒ 10 です。

ずれを 2 乗して足す手順は、標準偏差の求め方の記事で 1 つずつたどっています。 この記事では、求めたあとの 2 つの数字がどう違うかに絞ります。

分散の単位は「元の単位の2乗」

分散は、ずれを 2 乗した値を足して割って求めます。 そのため単位も 2 乗になります。

点数なら点²、作業時間なら分²、長さなら cm² です。 cm² は面積の単位なので、長さの散らばりを面積で表している形になります。

この単位のままでは、平均と並べて読めません。 「平均 6 点、分散 8 点²」と書かれても、散らばりが平均に比べて大きいのか小さいのか、すぐには分かりません。

平方根を取ると、平均と同じ物差しに戻る

分散の平方根を取ると、単位は点²から点に戻ります。 これが標準偏差を使う一番の理由です。

同じ単位なので、「平均 6 点、標準偏差 2.83 点」と並べて書けます。 2.83 点は、平均からのずれの大きさをならして 1 つにした代表値です。

実際のずれは 4・2・0・2・4 点で、2.83 点ずれた値があるわけではありません。 「散らばりの大きさは点数で言うとこのくらい」という物差しとして読みます。

データを変えたときの動き方にも、この違いが出ます。

データ平均母分散母標準偏差
2・4・6・8・10682.83
すべて 2 倍:4・8・12・16・2012325.66
すべてに 10 を足す:12・14・16・18・201682.83

データを 2 倍にすると、標準偏差も 2 倍になります。 分散は 2 の 2 乗で 4 倍です。

全体に 10 を足すと、平均は動きますが散らばり方は変わりません。 分散も標準偏差も、もとのままです。

標準偏差は、データを何倍かにしたとき同じだけ何倍かになります。 感覚どおりに動くので、読み手に伝える数字として向いています。

分散を使うのは「足し合わせる」とき

分散が活躍するのは、いくつかの散らばりを合計するときです。 互いに関係なくばらつく量どうしなら、合計の分散は、それぞれの分散の和になります。

たとえば、準備に平均 20 分・標準偏差 3 分、片付けに平均 30 分・標準偏差 4 分かかる作業があるとします。 合計時間の平均は 50 分ですが、標準偏差は 3+4 の 7 分にはなりません。

手順計算結果
それぞれを分散にする3² と 4²9 と 16
分散を足す9 + 1625
平方根を取る√255 分

合計時間の標準偏差は 5 分です。 標準偏差どうしをそのまま足すと 7 分になり、散らばりを大きく見積もりすぎます。

標準偏差は足し算と相性が悪く、分散は足し算と相性がよい数字です。 計算の途中では分散で持ち、最後に平方根を取って標準偏差で伝える、という使い分けになります。

取り違えやすい3つの場面

分散の値を標準偏差として書いてしまう

2 つは名前が違うだけでなく、数字も単位も違います。 先ほどの例なら分散は 8 点²、標準偏差は 2.83 点です。

表計算の関数で求めたときは、どちらの関数を使ったかを確かめてください。 Excel なら分散は VAR.P と VAR.S、標準偏差は STDEV.P と STDEV.S です。

1 より小さい値で大小が逆になる

1 より大きい数は、2 乗すると大きくなります。 1 より小さい数は、2 乗すると小さくなります。

標準偏差が 0.5 なら、分散は 0.25 です。 「分散は標準偏差より大きい」と覚えていると、小さな値のデータで読み違えます。

母と不偏を混ぜてしまう

母分散の平方根は母標準偏差、不偏分散の平方根は不偏標準偏差です。 不偏分散を求めたあとで母標準偏差の関数を使うと、組み合わせが合わなくなります。

どちらを使うかの決め方は、STDEV.P と STDEV.S の違いの記事で場面ごとにまとめています。

4つの値をまとめて確かめる

手計算や表計算の答え合わせには、平均・標準偏差計算ツールが使えます。 数値を貼ると、母分散・不偏分散・母標準偏差・不偏標準偏差の 4 つが並んで出ます。

分散の平方根が標準偏差になっていることも、同じ画面で見比べられます。 取り違えに気づくきっかけとして使ってください。

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