てもとツール
ガイド

表記ゆれを一括置換で直すと壊れる3つの型と防ぎ方

サーバをサーバーに一括置換したらサーバーーになった、という事故が起きる理由を3つの型に分けて説明します。置換元が置換先の一部になっている場合、別の語の一部に当たる場合、順番で結果が変わる場合の見分け方と、実行前の確認手順をまとめました。

公開読了目安 約5分

この記事の要点

  • 置換元が置換先の一部だと二重に伸びる
  • 短い語は別の語の一部にも当たってしまう
  • 複数のペアは適用する順番で結果が変わる
  • 長い語から先に置き換えれば 3 つ目は止まるが 1 つ目には効かない
  • 置換の前に件数を見ると当たりすぎに気づける
目次

「サーバ」を「サーバー」に一括置換したら「サーバーー」が並んだ、という場合、置換元が置換先の中に含まれているのが原因です。

置換元の「サーバ」が、置換先の「サーバー」の中にも含まれているからです。

この型の事故は 3 つに分けられます。どれも起きる条件がはっきりしているので、置換の前に見分けられます。

型 1: 置換元が置換先の一部になっている

いちばん多いのがこれです。短い表記を長い表記へ寄せるときに起きます。

置換すでに直っている文結果
サーバ → サーバーサーバーが再起動サーバーーが再起動
ユーザ → ユーザーユーザー登録ユーザーー登録
WiFi → Wi-FiWi-Fi の設定Wi-Fi の設定(壊れない)

3 行目だけ結果が違います。置換元の「WiFi」は、置換先の「Wi-Fi」の中にそのまま現れないからです。

つまり判定はこの 1 点で済みます。置換元の文字列が、置換先の文字列の中にそのまま現れるか。

型 2: 短い語が別の語の一部に当たる

置換元が短いほど、まったく別の語の中にも当たります。

  • 「ユーザ」→「ユーザー」は、ユーザビリティを「ユーザービリティ」にします
  • 「メモリ」→「メモリー」は、メモリアルを「メモリーアル」にします
  • 「カラー」→「色」は、カラーコードを「色コード」にします

型 1 と違って、こちらは置換先を見ても気づけません。原稿の中にどんな語が入っているかによります。

そのため、置換を実行する前に「何件当たるか」を数えるのが効きます。思っていたより件数が多ければ、余計な語を巻き込んでいます。

型 3: 複数のペアを順に当てると結果が変わる

置換のペアを 2 つ以上並べると、前の置換の結果に次の置換が当たります。

たとえば「スマホ → スマートフォン」と「スマートフォン → 携帯端末」を上から順に当てた場合です。

もとの文が「スマホとスマートフォン」なら、こうなります。

  1. 「スマホ」が「スマートフォン」になり、文は「スマートフォンとスマートフォン」
  2. その両方が「携帯端末」になり、文は「携帯端末と携帯端末」

「スマホ」は「スマートフォン」にしたかっただけなのに、最後まで流されました。

順番を入れ替えると結果も変わります。先に「スマートフォン → 携帯端末」を当てれば、文は「スマートフォンと携帯端末」で止まります。

どちらが正しいかは置換ツールには決められません。 意図を知っているのは書いた人だけです。

型ごとの防ぎ方

型 3 は、長い語から先に置き換える

ペアが 2 つ以上あるときは、置換元の文字数が多い順に並べ替えるだけで止まります。

「スマートフォン → 携帯端末」を先に、「スマホ → スマートフォン」を後に置けば、長いほうが先に消費されます。

型 1 は、先に直っている形を退避する

置換元が置換先の中に現れるときは、順番では防げません。手は 2 つです。

1 つ目は二段階にすること。先に「サーバー」を使わない印(@@1@@ など)へ置き換え、次に「サーバ」を「サーバー」にし、最後に印を「サーバー」へ戻します。

2 つ目は、置換ツールの単語単位の一致を使うことです。ただし日本語は語の切れ目を書かないので、多くのツールでこの指定は効きません。

型 2 は、置換の前に件数を見る

型 2 はペアを眺めても分かりません。ユーザ → ユーザー というペアは、原稿に「ユーザビリティ」があってもなくても同じ形だからです。

当たる件数を先に出して、想定と合っているかを見ます。原稿に「ユーザ」が 12 箇所のはずなのに 15 件当たったなら、3 件は別の語です。

置換元を含む長い語を、原稿の中で検索してみるのも早い確認です。

語の位置で差し替える仕組みを使う

そもそも文字列を探して置き換えるのをやめる、という手もあります。

先に語を切り出しておき、その語の位置だけを差し替えれば、すでに直っている箇所や別の語の一部には触れません。

表記ゆれチェッカーはこの方式です。カタカナと英数字の語を先に切り出し、書き方が割れている組を見つけてから、選んだ組の語の位置だけを書き換えます。

実行前の確認手順

置換ツールで表記ゆれを直すときの確認順です。

  1. 置換元の文字列が、置換先の文字列の中にそのまま現れないかを見る(型 1 の判定)
  2. 現れるなら、二段階にするか語の位置で差し替える仕組みへ切り替える(型 1 の対処)
  3. 置換元を含む長い語を原稿の中で検索する(型 2 の判定。ペアを見ても分かりません)
  4. ペアが 2 つ以上あるなら、置換元の長い順に並べ替える(型 3 の対処)
  5. 実行前に当たる件数を出し、想定と合っているか確かめる
  6. 実行後に置換先が二重になっていないかを検索して確かめる

6 つ目は保険です。「サーバーー」「ユーザーー」のように、長音が 2 つ続く並びを検索すれば型 1 の取りこぼしが見つかります。

そもそも直すべきゆれかを先に決める

置換の事故を避ける話とは別に、どのゆれを直すかは先に決めておくほうが早く終わります。

読み手が困らないゆれもあります。同じ段落の中で「サーバ」と「サーバー」が並んでいれば気になりますが、章をまたいで 1 回ずつなら気づかれないこともあります。

出現回数と、最初に出てきた場所が分かると判断しやすくなります。多いほうへ寄せるのが基本で、少ないほうが正しいと分かっているときだけ入れ替えます。

書き換える語が決まったあとなら、テキスト置換ツールで件数を確かめながら置き換えられます。

まとめ

一括置換で表記ゆれが壊れるのは 3 つの型に絞られます。

置換元が置換先の一部になっている型、短い語が別の語に当たる型、そして複数のペアの順番で結果が変わる型です。

型 1 は置換元と置換先を並べて見れば判定でき、型 3 は長い順に並べ替えれば止まります。

型 2 だけはペアを見ても分からないので、原稿の中を検索するか件数を数えて確かめます。

どの型も、語を先に切り出してから位置で差し替える仕組みなら起きません。

あわせて読みたい

同じテーマ・関連ツールの記事です。