Lorem ipsumの意味と原文|日本語の画面で使うと見誤る点
Lorem ipsumは意味の通る文ではなく、古代ローマのキケロの『善と悪の究極について』の一節を切り貼りしたラテン語です。先頭のLoremは原文のdolorem(苦痛を)の一部です。原文との対応と元の意味に加え、日本語の画面のレイアウト確認に英文のダミーを使うと見誤る3つの点を、Chromeで測った値で示します。
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この記事の要点
- Lorem ipsumは、キケロの『善と悪の究極について』第1巻の文を切り貼りした、意味の通らないラテン語
- 先頭の「Lorem」は、原文の「dolorem(苦痛を)」から頭の「do」が欠けた形
- 元の一節は「苦痛そのものを、苦痛だからといって求める人はいない」という内容
- Chromeで16pxの英文(Inter)と日本語(IPAゴシック)を並べると、1字の平均の幅は7.43pxと16pxで、日本語が約2倍だった
- 英文のダミーでは、日本語の語の途中での折り返しや、行頭の句読点を避ける処理を確かめられない
目次
Lorem ipsumは、意味の通る文ではありません。 古代ローマのキケロが書いた『善と悪の究極について』の一節から、語を削ったりつなぎ替えたりして作った文です。
先頭の「Lorem」も、原文の「dolorem(苦痛を)」から頭の「do」が欠けた形です。 ラテン語として読もうとしても、文としては読めません。
この記事では、Lorem ipsumと原文の対応と、元の一節の意味を示します。 あわせて、日本語の画面のレイアウト確認に英文のダミーを使うと見誤る3つの点を、Chromeで測った値でまとめます。
Lorem ipsumは原文を切り貼りした文
よく使われるLorem ipsumは、次の文で始まります。
Lorem ipsum dolor sit amet,
consectetur adipiscing elit,
sed do eiusmod tempor
incididunt ut labore et dolore
magna aliqua.
これと、キケロの『善と悪の究極について』第1巻の32節・33節を並べると、語の並びがほぼそのまま見つかります。 左がLorem ipsum、右が原文です。
- 「Lorem ipsum dolor sit amet, consectetur adipiscing elit」→「dolorem ipsum, quia dolor sit, amet, consectetur, adipisci velit」
- 「sed do eiusmod tempor incididunt ut labore et dolore magna aliqua」→「sed quia non numquam eius modi tempora incidunt, ut labore et dolore magnam aliquam」
- 「Ut enim ad minim veniam, quis nostrud exercitation ullamco laboris nisi ut aliquip ex ea commodo consequat」→「ut enim ad minima veniam, quis nostrum exercitationem ullam corporis suscipit laboriosam, nisi ut aliquid ex ea commodi consequatur」
- 「Duis aute irure dolor in reprehenderit in voluptate velit esse」→「quis autem vel eum iure reprehenderit, qui in ea voluptate velit esse」
- 「Excepteur sint occaecat cupidatat non proident, sunt in culpa qui officia deserunt mollit anim id est laborum」→「excepturi sint, obcaecati cupiditate non provident, similique sunt in culpa, qui officia deserunt mollitia animi, id est laborum」
「dolorem」は「Lorem」に、「eius modi」は「eiusmod」になっています。 語の途中で切れたり、2語がくっついたりしているのです。 「Lorem」や「eiusmod」のようにラテン語に無い形の語が入るので、文として意味はつながりません。
元の一節は「苦痛そのものを求める人はいない」
Loremで始まる部分の元は、32節の長い一文のうちの次の部分です。
neque porro quisquam est,
qui dolorem ipsum,
quia dolor sit, amet,
consectetur, adipisci velit
語ごとに意味を当てると、次のようになります。
- neque porro quisquam est, qui: 〜する人は誰もいない
- dolorem ipsum: 苦痛そのものを
- quia dolor sit: それが苦痛だからといって
- amet, consectetur, adipisci velit: 愛し、追い求め、手に入れようとする
まとめると「苦痛そのものを、苦痛だからといって愛し、追い求め、手に入れようとする人は誰もいない」という内容です。 快楽と苦痛について論じる節の一部で、ダミーの文のほうにはこの意味は残っていません。
意味の通らない文を使うと、確かめる人が中身に気を取られず、文字の量と並び方だけを見られます。 ただし、この「並び方」は英文の並び方です。
日本語の画面で見誤る3つの点
日本語のページの見た目を英文のダミーで確かめると、本番の日本語を入れたときに違いが出ます。 Chromeで、英文はInter、日本語はIPAゴシック、どちらも16pxで並べて比べました。
同じ字数でも、日本語は約2倍の幅を取る
空白も1字と数えた1字あたりの平均の幅は、Lorem ipsumが7.43px、日本語が16pxでした。 Interの英字は字ごとに幅が違い、IPAゴシックの日本語はどの字も文字サイズと同じ16pxの幅でした。
幅320pxの欄に200字を入れると、Lorem ipsumは6行、日本語のダミーは11行になりました。 日本語は1行20字なので10行のはずですが、後で述べる句読点の処理で19字の行ができ、最後の1字が11行目に送られました。 「200字まで」と決めた欄を英文で埋めて高さを決めると、日本語では収まりません。
幅の比は書体で変わるので、本番で使う書体と日本語で確かめてください。
折り返す位置が違う
英文は、単語と単語のあいだの空白で折り返します。 幅80pxの欄に「Download the dummy text」を入れると、単語ごとに4行に分かれました。 単語の途中では切れません。
日本語は、次の節の句読点のような例外を除けば、字と字のあいだで折り返します。 同じ幅の欄に「ダミーテキストをダウンロード」を入れると、「ダミーテキ」「ストをダウ」「ンロード」の3行に切れました。
ボタンや見出しのように狭い場所では、日本語の語の途中で行が変わります。 英文のダミーでは単語の途中で切れないので、この見え方は確かめられません。
句読点を行頭に置かない処理がある
日本語の文では、「、」や「。」が行の頭に来ないよう、ブラウザが前の字ごと次の行へ送ります。 10字ちょうどの幅の欄で、11字目が「、」になる文を入れると、1行目は9字で終わり、「こ、」が次の行へ移りました。
このため、日本語の行は、同じ幅でも字数が1字ずれることがあります。 右端がそろって見えるかどうかは、句読点を含む日本語の文で確かめる必要があります。
日本語のダミーと、消し忘れの防ぎ方
日本語の画面を確かめるなら、ダミーも日本語にします。 日本語ダミーテキスト生成では、段落か文の単位で、句読点を含む日本語のダミーを作れます。
このツールの文は、1文が2語以上なら、2語目に必ず「ダミーテキスト」という語が入ります。 公開の前に、ページの中を「ダミーテキスト」や「Lorem」で検索すると、消し忘れを見つけられます。
本物らしい文章をダミーに使うと、公開前の見直しで本文と見分けにくくなります。 ダミーとすぐ分かる文を使い、検索で拾える語を決めておくのが安全です。
関連記事
- 日本語ダミーテキストを生成する使い方(ツールの操作)
- remとemの違い(文字サイズの単位)
- 横書きの読点は「、」か「,」か(句読点の選び方)
参考・出典
- M. Tullius Cicero, De Finibus Bonorum et Malorum, Liber Primus(32〜33節) — The Latin Library (2026-10-15 閲覧)
本記事は上記の公的機関・公式情報源を参考にしています。最新の情報は各リンク先をご確認ください。
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